伝えたいものは何ですか? (NA6CEにNA8CのMTミッション移植)

 

1990年式のNA6CEのミッションをNA8C(年式不明)のミッションに換装しました。

けっこう大変な作業で一緒にやったクラッチ交換と合計で5時間越の時間がかかりました。

クラッチ交換の工賃は、概ね3万円程度ですのでこれにちょいプラスでミッションの交換もやってもらえると思います(クラッチ交換時は、完全にミッションを下ろしちゃいますから)。

それなりに機材が揃っていてもとーっても大変なんで、頼んだ方がいい鴨?


NA6CEとNA8Cミッションの差異

型式は全く同じです(M5M-D型)。M5M-D型は元々はルーチェに使用されていたミッションです。但し、そのままでは使用できないのでモディファイを加えてロードスタに搭載されています。

ルーチェ用の5速MTをモディファイしたもの。ルーチェのシフトレバーは斜めに引き出されているが、ドライバの意志を素早く実行&伝達するために、短く直立したシフトレバーでなければならない。そこでケースにエキステンション部分を加え、シフトリンケージ系の剛性と精度を向上させ、レバーにメタルストッパを採用し節度ある変速フィーリングを得ている
とロードスタ発売時のカタログ本に書かれてました。

ロードスタに採用されてからも細かな改良はされていて、フィールはけっこう違ってきています。最も大きな変更はNA8Cになってセカンドのシンクロナイザがダブルコーンに変更されたことです。
シンクロナイザとはギアチェンジ時にギアの回転差を同調させるものです。ここが強力だと大きな回転差があってもシフトし易くなります。

NA6CEでもNA8CでもNB6でも、2ndへのシフトが硬いor渋い・・・ってのをロードスタを乗り出してすぐの方の不満としてよく聞きますが、これは回転数差に係わらず渋いので、シフトレバーのリンケージ等の問題でしょうね。シンクロによって改善されるのはまた別な問題(2ndへの渋さはNA6CEから年式がどんどん下る程改善されてますよん。細かな改良の成果でしょうね)。
渋さは個体差もけっこうあります。同じ年式でもけっこうフィーリングが違います。年数を経たものは、その間の使用方法とOIL管理にも依存します。

けっこうきついクリアランスで組まれているようで、新車のNA6CE(H1式)は暖気が終わるまで、1stも2ndも全く入りませんでした。・・・と言う言訳もを使って助手席のハニーとしばらく会話が楽しめるってのも有りだけど(笑)

硬さ=カチカチ感・・・というのもあって、楽しんでドライブするには、NA6CEのシフトフィールの方が気持ち良いって話もあります。競技みたいに目的がひとつ&他は全て切り捨てる・・・ってわけじゃないので、スポーツカーのマンマシンインターフェースは色々と違った意見が出ちゃいますね。


どうなるか?

今回換えたのは・・・純粋にタイムのため(爆)。

NA6CEにNA8Cのエンジン&ミッション&電装系一式を移植した友人が、NA8CのミッションはNA6CEのミッションよりシフトに無理がきくと教えてくれました。ただし、これは競技系のサーキットやジムカーナでの話。

の2点が体感できる点。

うちのミッションは、これまでのオーナさんが大切に乗られてきたせいかこれまで乗ってみたNA6CE中最もシフトが硬いです。シンクロの働きが悪くて硬いんじゃなくて、シフトのリンケージが硬い。ジムカーナで横Gがかかった逼迫した状況で、硬いシフトレバーをゴキゴキやるのは疲れるし、シフトのタイミングがどうしてもワンテンポずれちゃいます。

今回偶然NA8Cのミッションが入手できる機会があったので交換してみました。


追加情報(ミッションの差異)

詳細な情報を仕入れたので追記です。

NA8C用

  1. 2速にダブルコーンシンクロを採用

NB6C用

  1. 低μブッショの採用等でシフト方向の摺動抵抗を約30%低減

  2. リバースのセレクト動作を30mmから20mmに低減

  3. 5速とリバースを同列化、誤シフト防止用に一旦ニュートラルへシフトしないとリバースがセレクトできないロック機構を装備

  4. 2速にトリプルコーンシンクロを装備

  5. ドグクラッチの歯型改良等

NB6Cのミッションは電気系配線のコネクタが変更されていますし、スピードドリブンギアからの車速取出しがワイヤから電気式に変更されています。でも、ミッションそのものは同じ形状なので移植は可能です。

ミッションのエクステンション部分もNA8Cまではロッド剥き出しでしたが、何やら蓋がされて変更されているのが解ります。左画像はNB6Cのミッションです(赤矢印の部分が何やら変更されてる蓋)。



作業

作業してたので画像がほとんどありません(爆)

かなりの体力がいります。当然ながら機関部分ですので、それなりに知識も要求されます。良い子のみんなは真似しないでね(ぉぃぉぃ)。というか、構造が解っていても数名の仲間がいて、それなり以上に工具がないとかなり難しいです。工賃3万円なら、とっても安い!って思いますね(^ ^;
ミッション脱着は過去1度手伝ってるのでこれで2回目ですが、次はお金があれば頼んじゃう鴨?

作業内容は以下のようになります。

・PPF取り外し
まずPPFにプラスチックのケーブルクランプで固定されているバッテリィからのメインハーネスを取り外します。PPFに刺さっているクランプの爪を先の細いラジオペンチで挟んでやると簡単に抜けます。
PPFの肉抜き穴を通ってスピードメータ駆動ワイヤがミッションから出ていますので、これを大きなモンキスパナ(ナット径が大きい)で緩めて取り外します。
デフ側(2本)、ミッション側(3本)のネジを取り外します。デフ側のネジ部分には下側から座金が圧入されていますので、これをバールやマイナスドライバでこじって取り外します。
これでPPFが外れてきます。

・プロペラシャフト取り外し
デフと4本のボルト&ナットで接続されています。サイドブレーキを引いていてもPPFが無いためデフが動きます。デフが動くとこのボルトに力が加えられないので、バールか大きなマイナスドライバをジョイント部分等に差し込んで回り止めにします。
ミッションは水平であれば、プロペラシャフトを引き抜いてもミッションOIL漏れてきません。但し、この後ミッションを取り外すのに斜めや横にするので、プロペラシャフトに代わるものを差し込んでOILの漏れ止めとします。今回は不要になったプロペラシャフトを切断したものを使用しました。ディーラでMAZDA純正指定の専用のものも購入できまっす。試してないけどガムテープ等で塞ぐだけだと・・・漏れてくるでしょうねぇ(^ ^;

・マフラとエキマニを分離(両方とも下ろした方が作業は超楽)
今回は触媒の前端で分離して車両に付いたままの状態で作業しました。しかーし、エキマニはミッションを引き抜くのにすごく邪魔で、エキマニがあると知恵の輪状態になります。不精しないで外しちゃった方が作業早かったように思います。マフラは外さなくても大丈夫だと思います(触媒は邪魔・・・)。まぁ、素直に両方共外す方がいいですね・・・・(反省〜)。
年数を経た車両の場合、触媒のエキマニ側のネジは固着してる場合が多いです。固着してるとまずボルト折れます。折れた場合は、グラインダでネジを切ってドリルで穴開けて通しボルトにする必要があります。触媒部分を外す場合は、覚悟の上で作業してね。

・センタコンソール分解&シフトレバー取り外し
センターコンソールを外してシフトレバーをミッション本体から外します。見えるネジを外していけば、レバーそのものはミッションに差し込んであるだけなので簡単に外れます。外れたとこの穴にはOILが100cc程入っています。ゴミが入ったりOILがこぼれたりしないようにガムテープでしっかりと蓋しました。

・ エンジンとミッションの接合分離
これが大変〜。下のほうのボルトは見えますが、上の方はシャシーのセンタートンネルの隙間からエクステンションを2段繋いで緩めないといけません。エンジンのイグニッションコイル(プラグコードのプラグと反対側)を外して、オフセット(曲がり)の小さいレンチで最初の力のいるとこだけは緩められます(でも、回す角度がほとんど無いので大変)。
セルモータを固定してるネジもミッションとエンジンを貫通してます。このネジはボルト&ナットですので面倒〜。
ネジ類は長さと太さが色々ありますので、外す毎にマジックで番号を書いておかないと解らなくなりますよん〜。
クラッチを切るシリンダブロックもミッション側に付いてますので、これも取り外しておきます。外した状態でクラッチ踏むとシリンダ抜けてOILだだ漏れになります。踏んだらだめよん。

・ ミッション外し
これで接続は分離できたのでミッションを外します。最初だけエンジンに張り付いているので、エンジンのミッションの間にマイナスドライバを差し込んでちょこっとこじってやります。後はずりずり引っ張るだけ。今回はミッションジャッキを使ったので楽でした。ミッションジャッキが無い場合は人間ジャッキでミッションを抱くように抱えて下ろすんですが、そーとー重いので私なんかがやると絶対潰されます・・・(X_X)。フロアジャッキや友人やなんやかやを動員して怪我しないようにして下さいませ。
ここで、エキマニと触媒を外してないのがアダになってミッションがまっすぐ抜けない・・・。回したり捻ったりあーだこーだで抜けましたが、フロアトンネル内壁傷だらけ&各種ブラケット曲がり放題(爆)。エキマニと触媒(マフラ)は外しませう。

・ 組み付け時は上記の逆
となります。エキマニ外してないので当然ながら苦しみました(外せよな・・)(爆)
ミッションから出ているシャフトがフライホイール部分まで貫通しないといけません。シャフト側とフライホイール側にギザギザの溝がありますので、これが噛み合うようにミッションをぐりぐりと左右に捻りながら入れるとスコンと入ります。また、真っ直ぐ入れないと入らないんですが、ミッションの無くなったエンジンはちょこっと前にお辞儀してるので、エンジンのヘッドを後ろに押してエンジンをちょっと後ろ下がりにしてミッションと角度を合わせてやると入れやすいです。なかなか入らないので、角度とぐりぐりを繰り返しました。

使った特殊工具は
・ミッションジャッキ
・クラッチセンタ出しツール(クラッチ交換も行ったので)
・プロペラシャフトのミッション側接合部用蓋(ミッションOILが漏れないようにする蓋です)


走ってみると?

NA6CEのシフトフィールより幾分柔らかい感じ。エンジンを止めてシフトを行うと、カチカチとリンケージが動作する音がしますが、NA8Cミッションの方が静かです。使ってたNA6CEミッションはかなり硬質なカチカチ音がします。

これまでのNA6CEミッションがとっても硬かったせいか、非常に軽くシフトできます。当然ながら無駄な力が入らないので、楽でスム〜ズな感じ

2ndのシフトですが、うちの車両はECUのROMをいじってあるので、8000rpmまで実用範囲で回せます。
で、1stで8000rpm近隣まで引っ張り2ndへシフトしようとすると、これまでのNA6CEミッションではシフトレバーにギャーーーというすごいギア振動が感じられて入らない・・・入れられない・・・無理すると絶対壊れる・・・ちゅう感じでした。ダブルクラッチを完全に使えば入るはずですが、このような状況では1stで上がった回転数が落ちる前に2ndへ入れてタイムロス無くそのまま加速したいんですよねぇ。

NA8Cミッションだと7500rpmでもそれなりにポンッと入ります。そんなに無理はしてませんが、難なく入ります。
明らかにシフトによるタイムロスを低減できますね。非常にGood!

NA6CEでタイムアップを狙う変体なあなたにはお勧めです(ぉぃぉぃ)。

25March'02,06Jun'01

OPEN HOME

inserted by FC2 system