ディーラーでエンジンオーバーホール

 

全ては油圧から

最近どうも元気に走った後油圧が低い…。簡単に0と2の真ん中くらいまで落ちます。オイルはいつものニューテックの2つの粘度のブレンドで、これまでこんな簡単に油圧が落ちることはなかったんだが、ハテ?
車両は12万キロちょい走行で、エンジンを開けたことはなし。4万キロでうちに来て、ジムカーナやらサーキットやらで通常の使用よりは、かなり酷使されてるとはいえます。

というわけで、オイルを硬くしてみたり、ニューテックのオイル漏れ抑止剤を入れてみたりと対処療法をやったのですが、やはりダメでこれはオイルポンプの磨耗が進んでクリアランスが広がっているのだろうという結論に到達。クリアランスが広いので、油温が上がってオイルの粘度が落ちると圧送能力が足りなくなるのでしょう。

冷間始動時の油圧は、これだけ気温が低ければ4[kg/cm2]のリリーフバルブが働くとこで張り付いていたように思うのですが。

1月の午前中。5[℃]です。

冷間始動で4[kg/cm2]に達しません。

 


オイルポンプ交換のはずが

そこで、ディーラに入庫。オイルポンプ交換は、エンジンを吊ってオイルパンを外せば可能(エンジンを降ろす必要があると工賃が上がる)とのことで、部品代¥35,000.-。工賃¥30,000.-。交換を依頼。

で、車を預けた翌日にディーラから電話、「××さん、クランクシャフト曲がってます。」、「え(^ ^;;」。エンジンを掛けると、クランクシャフト前端のセンターのボルトがブレて見えるそうです。

動画は、クランクシャフト前端のプーリーを撮影。通常正常であれば、プーリーのエッジは綺麗な線で見えますが、ぶれてますー。


クランクシャフト前端のプーリー。ぶれて見えます。

NA6CEのシャシ番号末尾127441以前は、タイミングベルトと補機用プーリー用のキー溝が細く、キー溝が広がる事例がweb上でいろいろ報告されています。うちのも該当シャーシ番号なので、それであればなんとかキー溝を再生すればいいわけですが、センターのボルトもブレて見えるわけで、キー溝だけではないという結論に至ってます。

クランクシャフト前端が曲がっている→オイルポンプが偏心して回る→オイルポンプのクリアランスが広がる→オイルの粘度が落ちると圧送力が足りなくなる。

という、感じでディーラと意見一致に至りました。

キー溝なら、こんな直し方もあるよと掲示板に、黒めだかさんからアドバイス頂きました。感謝多々。


Miata MX-5 Crankshaft Keyway Repair.

 


どこまで直すか

クランクシャフトとオイルポンプを交換が最小の整備でしょうか。ディーラと相談してみると、このような状態だと通常はリビルトエンジンと乗せ換えがお勧めだそうです。まあ、そこまで傷んでるエンジンは他もそれなりにと考えるのは当然ではあります。
ついでにコンプレッションも測ってもらったのですが、4気筒共に12[kg/cm2]でした。整備書の基準値は以下表です。まだまだ行けるが、それなりといったところでしょうか。

圧縮圧力

 kg/cm2-rpm

標準値 13.5-300
限界値 9.5-300
気筒間差 2.0以内

 

ただし、もうマツダはNA6CE用のリビルトエンジンの供給を止めているので、入手不可です。

選択肢は、

で、色々調査&相談&交渉の結果、ディーラーでオーバーホールということにしました。必要費用はエンジン開けてみてからなので、未定(^ ^;。まぁ、付き合いの長いディーラなので、その辺はいろいろと社外の価格を伝えてがんばって下さいということで了解を取り付けてます。

これを機会についでにチューニングという選択肢もあったわけですが、いじりだすときりが無いのがエンジンと欲望なので、フルノーマルでオーバーホールを選択してみました。


2週間伸びる

'13年2月2日入庫させました。で、工期2週間の予定だったのですが、さらに2週間伸びました。ディーラーの説明では、
まず、エンジンを分解して解ったこと、

です。ぉぃおいぉぃおいだから言ったのにですが、まぁ開けてみないと解らないこともあるので致し方ないでしょう。どのみちクランクシャフトを交換するので問題ではなかったわけですが、ついでに前期型B6のクランクシャフトは生産終了とのこと。事前に調べてから、ばらせよ〜 ┐(´〜`)┌

シャシ番号127441以降のクランクシャフトをという手もあるのですが、周辺パーツ(オイルポンプ等)が異なり、ディーラーでは異種互換性は解らないとのことなので、この手立ては調べてません。

てな訳で、専門業者へクランクシャフトの溝を補修に出すことになりました。これで10日程伸びるので、追加で2週間です。

すいませんお安くします…とのことなのと、すでにエンジンはばらばらなので、このまま行くことにしました。


ボディはディーラーのリフトの上でお休み中。


修理完了

とりあえず交換部品等一覧。

PartsNo. 名称 員数 価格
8DN110271 ガスケット、セット、エンジン 1 24885
B6S711401A プーリー、クランクシヤフト 1 17010
B66015010E ポンプ、ウォーター 1 10605
B61P13742A ホース、ベンチレーション 1 357
B61P13986 オリフイス 1 441
F80111303 ベアリング、ボール 1 1144
FE8616214 カバー、ダスト 1 1753
B66014100E ポンプ、オイル 1 32970
B61P14240 ストレイナー、オイル 1 2656
R2Y110431 ガスケット、オイルパン 1 5502
B6Y114302A カートリッジ、オイルフィルター 1 1260
E30113338A シール、ラバー 1 252
FEA713104 キャップ、シーリング 1 378
B66010328 カバー、ブラインドC.ブロック 1 427
SE0110715 ガスケット、オイルジェット 8 1256
B3H815171A サーモスタット 1 2100
1P02W0B3G1L LLC 緑 2 2666
995641800 ワッシャー 1 84
B6Y411SC0B リング セット、ピストン 1 12180
B6Y311SG0 メタル セット、メインベアリング 1 13440
B6Y311SE0 メタル セット、コネクテイングロツド 1 7927
B6Y311SJ0 メタル セット、スラスト 1 3034
B36611321A プーリー、タイミングベルト 1 3633
B63011317A キー、ウツドラフ 1 336
B63011406C ボルト、クランクシヤフト ロツク 1 1186
B6S712SF0A ベルト セット、タイミング 1 5512
993071000 プラグ、ブラインド 1 105
B62216510 カラー、クラツチ レリーズ 1 3475
B61P15184 ホース、ウォーター 1 1984
B61P15190 パイプ、ウォーター 1 3339
B61P15186 ホース、ウォーター 1 1732
B61P15185 ホース、ウォーター 1 1543
9932407610 ホース、ウォーター 1 409
B61P13691A ホース、ウォーター 1 840
B61P15261A ホース、ウォーターバイパス 1 850
NA7561211 ホース No.1、ウォーター 1 1165
NA0161212A ホース No.2、ウォーター 1 1354
9WNCB3400 クランプ、ホース 3 849
9WNCB3400 クランプ、ホース 3 849
JF0215538 クランプ、ホース 2 504
992862200P クランプ、ホース 4 672
992862200P クランプ、ホース 1 168
JF0215538 クランプ、ホース 2 504
JF0215538 クランプ、ホース 1 252

合計

173585

※:シャシNo.で適合パーツは変わります。ここに挙げたPartsNo.は一例ですので参考程度に見て下さい。

 

作業内容は、エンジン&ミッションの脱着はもちろんですが、以下のことが行われています。


タンクぴかぴかのラジエター

エンジン内部は、綺麗な状態だったそうで、軽いシリンダーのホーニングだけで済んでいます。
水周りのホースは5年程前に交換しているのですが、一度使ったものはクランプの凹みに合わせてクランプを止めないと冷却水が漏れるので、ディーラーでは再利用不可で全交換してます。ならばついでに水周りは全部やろうということになって、ラジエターもO/Hしてしまいました。で、組んで始動して、圧をチェックしたところ、冷える時にどこかから吸っているとのことで、ヒーターコアの交換をすることに。部品納期1ヶ月なので追って作業。

ディーラでの測定で、

圧縮は12[kg/cm2]だったものが、13.2〜13.3[kg/cm2]に回復。

油圧はアイドルで1.8[kg/cm2]、3000[rpm]で3.5[kg/cm2]になっています。


外観的にはホースが新しくなってるくらいしか解りません。


追加作業

ヒーターコアが入荷しました。まだ、作ってくれるデンソーさんに感謝。

NBでは一体物のアルミになっていますが、NAでは、コアとパイプをゴムホースで繋ぐ形状です。

PartsNo. 名称 員数 価格
N00161A10 ブロアーユニット 1 22260
N00161A15 パイプ 1 1680
N00161A16 パイプ 1 1680
UA1076452 ホース 2 188
NA0161A09 クリップ 2 210

合計

26018

 

今回問題となったのは、コアそのものではなくパイプの方です。ホースが固着していて、ホースを外す時に歪んでしまいました。ここからエア吸うようです。当然サーキット走行等で水温が上がると噴く可能性もあります。まぁ、仕方無いので、それではついでにコアまで手を出して、水周り全部一新しましょうかと言う話で換えてます。

歪んだヒータパイプのエンジン側 取り出した古いヒータコア

外したコアは、見た目きれいで漏れはありませんでした。スポンジも崩壊してないし意外と普通でした。ただ、繋ぎのゴムパイプは、若干膨らんでる感じです。


費用

お値段は、公称40万円ちょいだそうです。公称…、車検や諸々の修理で入庫しているのと、オーバーホール開始の経緯で、実はお安くしてもらっているのですが、普通にやったらいくらですか?と聞いたら40万円ちょいくらいだそうです。実際のお値段はすいませんが内緒です。ごめんなさい(_ _)


追加作業

ラジエターをエンジンルームから眺めていると、どうも何か足りない…。あ、隙間が空いてる。

さて、ラジエターのここには隙間を塞ぐスポンジが貼られてたはず。

下側は貼られていました。

構造を見ると、ボディ側にしか貼れないので、モロモロになっていたのをディーラーが剥がして、そのまま忘れたのでしょう。下側が貼られているのは、たぶん外注のラジエター屋の仕事と予測。ちなみにNA6CEの純正状態では、下側のスポンジはありません、NA8Cから貼られています。

スポンジの役割は、バンパーの口から入った冷たい空気をラジエターへなるべく多く導くための、隙間塞ぎです。
丁度、サッシの隙間塞ぎに買ったブリジストンのスキマテープが有ったので、ちょいちょいと貼りました。ブリジストンの関連会社製なのは偶然(^ ^;。ホームセンターで¥200くらいじゃなかったかと思います。

ピッタリ。

ブリジストン化成品東京(株) スキマテープ2P
厚み10mm、幅15mm

それなりに熱くなるので、耐久性は様子を見ないと解りません。まぁ、ラジエター屋さんが貼ったとおぼしきものも見た目はほぼ同じなので、概ね大丈夫かなと思います。発火する程高温にはならないので、剥がれるようなら、また考えます。


どう?

オイルはディーラーの5W-40で、オーバーホール前より柔らかいものが入っていますが、冷間始動時の油圧は、リリーフバルブが働く4[kg/cm2]に張り付きます。とりあえず油圧が低い問題は解決。

 

3月初旬の午前中。4[℃]です。

冷間始動で4[kg/cm2]に張り付きます。

 

慣らし中なので、3000[rpm]縛りですが、圧縮アップの恩恵でトルクが厚い気がします。気がする程度なのは、まだ上まで回してないせいなのか、この程度のものなのか今の時点では解りません。慣らしが終わったら、いつの使ってるスーパーオートバックスのシャーシーダイナモに乗せて比較してみます。

油圧ポンプの交換から、偶然なし崩しにスタートしたエンジンオーバーホールですが、あと10年乗ると考えると、これで良かったかなと思っています。普通に使っているエンジンなら20万キロは、そのまま行けると思いますです。

 

 

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