ATって何?

ATはロスが多くて遅いとか燃費が悪いとか ...言いますが、じゃぁATって何?って話。
言葉じゃ君への愛は伝えられないよハニ〜、じゃなくて、言葉では説明できないです複雑で。
エンジン-->トルクコンバータ-->副変速機-->ドライブシャフト-->デフ
という順番で繋がっています。MT車のクラッチがトルクコンバータに、手動変速機部分が、副変速機 に置き換わります。


トルクコンバータ

まず、トルクコンバータ。言葉での説明はいきなり諦めて(笑)、下図参照。

A: ポンプ・インペラ
B: ステータ
C: タービン・ライナ

このトルクコンバータ部分はオートマチックトランスミッションフルード(ATF、簡単に言うとオートマ オイル)が満たされています。

図中の太い矢印はATFの流れを示します。

基本原理は流体クラッチです。ビスカスもその一種ですね。扇風機の前に風車を置くと、扇風機がある程 度の回転数以上になると風車も回り出すのと同じ原理です。流体継ぎ手は空気の代わりにオイルでやって いるだけ。
ただ、これだけではロスが多すぎるので、対面する羽根の間にもう1枚羽根(ステータ)を追加したのが、 トルクコンバータです。ステータがあると、
出力軸トルク÷入力軸トルク=2〜3
と、トルクがアップします!
(ただし、出力軸が回転しだして、出力軸が入力軸と等速になってくると、この比率は1になってトクル アップは無くなります)。

ポンプ・インペラが回り出すと、遠心力でオイル(ATF)がポンプ・インペラの外周からタービン・イン ペラへ送り込まれます。オイルがタービン。インペラの羽根に当たりタービン・ライナが回り出します。
オイルはタービン・ライナから出て、ステータの羽根で斜めの流れにされてポンプ・インペラに戻り、ポ ンプ・インペラを回す力になります。ポンプ・インペラはオイルを排出してタービン・ライナを回しなが ら戻ってきたオイルで自分自身も回されるってことになります。
これが単純な流体継ぎ手とトルク・コンバータの違いです。
ポンプ・インペラが高速になると、ステータが作るオイルの流れが抵抗になるため、ステータ一方向にだ け空転できるように1ウェイクラッチが内蔵されています。

ATのロス(MTに比べた場合の、加速感や燃費)は全てここのトルクコンバータ部分で発生します。液体で 繋がってますので、MTのようにクラッチで直結するのに比べるとねぇ。概ね10%のロスと言われてます。
ロックアップ機構付きのATの場合は、入力軸と出力軸が等速になった時にロックアップ・クラッチによっ て入力と出力を直結して、ロスを0%にするようにしています。


副変速機

トルコンの次に副変速機があります。
全て油圧で制御されています。電子制御の場合も最終的には油圧になります。この部分は細い油圧ライン の集合体で分解された油圧ライン部分を見ると、迷路のように溝(油路)が彫られています。非常に繊細 で精密なとこです。
ATF油量確認のスティックをエンジンオイル確認の時のようにボロ布で拭いてはいけないと言われていま す。これは、糸くずがAT内に入ると油路を詰まらせる可能性があるためで、これからもいかに複雑で細か い油路がAT内にあるかが解るかと思います。

自動シフト用の油路とは別に、手動シフトや、キックダウンは専用の油路バルブを開閉することによって 強制的にシフトしたり固定したりします。

変速ギアはプラネタリ・ギアとサン・ギアと呼ばれる構造のギアが複数組み合わさって構成されています。 サン・ギアを回転させたり固定したり、プラネタリ・ギアの位置を回転させたり固定したりしてギア比を 変更しています。
ギアの構造については、書きだすととんでもないので本屋さんで立ち読みして下さい(^-^;)。ただ、立 ち読みレベルだと解らないかも(理解するのにちょとかかります、これ)。

ATは構造を全部理解すると、MTに比べて「なんて複雑で、精巧な構造なんだ!」と感心しますよ。


ATの変速パターン

ATは最近電子制御になってきていますが、根幹部分が油圧であることには、変わりありません。電子制御のNA8C、NBの人も基本として見て 下さい。
ATの変速を制御している要因は、
 ・車速(車軸回転数)により油圧が変化するガバナ・プレッシャー
 ・エンジン負荷により油圧が変化するスロットル・プレッシャー
の2つです。
車速だけで制御できないのは、例えば同じ3000rpmでエンジンが回っていてある速度であったとしても、アクセルベタ踏みで加速要求中なのか、 一定スロットルで巡航中なのかによって状況が全然違うためです。で、エンジンの状況は、エンジンに対する負荷(でろ〜んと3000rpmなのか、 アクセルを踏んでいるのにまだ3000rpmで、エンジンがひーひー言ってるのか)で判断します。
ATの解説本では吸気管負荷で計る...と書いてあったのですが、NA6CEの場合はどうかは、まだ調べてません(負圧測っているようには思 えないんですよね)。NA6CEはスロットルポジションセンサーのコネクタがMTとATでは形状が違います。と、いうことはスロットルの位置 と、エアフローメータの空気流量値を吸気管負圧の換わりとしているのかなぁ?と思っています(いずれ調べます)。まぁ、簡単に言えば、踏 んでいれば高負荷、踏んでいなければ低負荷ってことですね(笑)。
シフトアップのタイミングは下図のような特性が一般的です。経験上NA6CEのATも、このようなパターンです。

 エ|1速領域    | 2速領域    | 3速領域
 ン|       |        |
 ジ|      |       |
 ン|     |      |
 負|     |     |
 荷|    |     |
 、|    |    |
 吸|    |    |
 気|    |    | 
 管|    |    |      
 負 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 圧                 車速、車軸回転数

アクセルを踏んでいる(エンジン負荷大)状態では、1速、2速の領域が広がり、なかなか上のギアへシフトしないってことです。
NA6CEでは、通常の市街地の加速で3000rpm程度でシフトアップが起こりますが、ベタ踏み状態では5000rpm程度までシフトアップは起こりま せん。
ただ、ATで難しくなっているのはシフトダウンのポイントがシフトアップとかなり違うってことです。これは全く同じ領域でアップ&ダウン 設定とすると、その前後でシフトアップしたりシフトダウンしたりを繰り返してぎくしゃくしちゃいますので、アップとダウンのある程度の 差異を付けてあることによります。
また、ATを好むドライバは、シフトダウンするようなスポーティな運転を特に好まないであろうということから、シフトショックを伴い易い シフトダウンを出来るだけ低い回転数にしているのかもしれません。
シフトダウンについては、上図に対比して書くと下図のようになります。

 エ|1速領域| 2速領域 | 3速領域
 ン|    |    |
 ジ|    |  |
 ン|    ||
 負|    |
 荷|    |
 、|    |
 吸|    |
 気|    | 
 管|    |      
 負 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 圧                 車速、車軸回転数

実際にNA6CEのATを運転していても、ほとんどシフトダウンをしてくれません。ほぼ3速で走ろうとします。上図のような特性であるって事 ですね。

ただ、味付けはともかく、このようになっていると理解して乗ると、かなりシフトポイントが予測できます。MT車に乗っている方がATに乗 って戸惑うのは、このポイントがいつもの自分の運転とは違うポイントにあるからでしょうね。
誰だって勝手にシフトされるのは気持ち悪いです(^-^;)。ATに乗りなれた人は、「ここらでシフトするな」ってのが、経験上あるので違 和感が無いだけの話だと思います。

AT乗りとしては、このシフトアップとシフトダウンのマップを全負荷パターンで頭の中に構築できれば完璧です。私の場合は、概ね日常で使 う領域しか頭の中に明確にマップができてません(すぐ手でシフトするので出来ない...)。マニュアルシフトしちゃう場合は、まぁそれは それでOKなんですが、手でシフトなんかせずにジェントルにATに乗りたい!って方は色々やって覚えこんでください(笑)。いつも使わな い領域って試してみると面白いですよ。
私は手でシフトしちゃいます(ハハハ)。

 

11Aug'99

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