スタビライザって目立たないですよね(^^ゞ
スタビライザって何?
スタビライザ(以後スタビ)てのは左右の足を繋ぐ棒だと思えば解りやすいです。右の足が上がると左も上がるor右が上がろうとしても左が上がらないと右は上がれない・・・って動きをします。
実際にはバネと同じで直径とレバー比(コ字型に曲がっているのでテコの原理で力が働く)によって効き方が変わります。
実際の走行で考えてみると、例えば右コーナで車体が左へロールする(左足縮む&右足伸びる)場合、左足が縮もうとしても連結される右足の位置とスタビの直径&レバー比によって縮みにくくなります。右足も左足の位置とスタビの直径&レバー比によって伸びにくくなります。
ま、早い話ロールが減ります。
ただし、ダンパやバネを硬くしたのと違うのは、左右に繋がってるだけなので、ブレーキングやアクセルON/OFFで発生する前後方向の動きは規制されませんです。
ロールは減るけど、ノーズダイブやスクワットは減らないってことですね。
スピードマインド誌(倒産しちゃいました)別冊の「ジムカーナセッティングのイ・ロ・HA!」には、スタビはあくまで最後の味付け程度に考えるようにと書かれています。スタビだけ突出するとバランス崩れる&バランスの範囲内では大きな変化は無い・・・ってことかな。
足のセッティングの基本はバネとダンパで、もうちょっとの味付けにはスタビを試してもいいよってとこでしょうか。
純正のスタビとMAZDASPEEDのスタビ
今回装着したのはMAZDASPEEDのNA6CE用です。1999年年末の時点で発注してメーカ在庫ありました。
純正のスタビと今回装着したMAZDASPEEDのNA6CE用スタビの仕様はこんな感じです。レバー比はNA同士は変わらないですが、NAとNBでは違いがあるかもしれません。
純正装着スタビライザ | ||
車種 |
スタビライザ直径 (mm) | |
フロント |
リア |
|
NA6CE前期型 | 19 |
12 |
NA6CE後期型 | 19 |
11 |
NA8C Sr.1&Sr.2 (MT) | 20 |
12 |
NA8C Sr.1&Sr.2 (AT) | 19 |
11 |
MAZDASPEED (NA6CE用) | |||
部品名 |
品番 |
直径(mm) | 価格 |
9E1D 34 151 | スタビライザ(Fr) | 22 | ¥19,000.- |
9E1D 28 151 | スタビライザ(Rr) | 14 | ¥17,000.- |
MAZDASPEEDのリアはNA8Cにも装着可能となっていますが、フロントは装着できません。
MAZDASPEEDのものは中実(中身の詰まった棒〜。中空のスタビは軽いけど高いです)ですから基本的に安くて普通なんだけど、それでも妙に安い・・・。さては輸出仕様の転用かな?と思ってたんですが、「ロードスタの羅針盤メーリングリスト」で色々話してるうちに謎は全て解けた!金田一少年の事件簿(c)になりました。実はこれ純正オプションのハードサスキットのスタビと同じ直径です。まぁ、たぶん、色が違うだけで中身は同じでしょう(^ ^;。安いからOK〜ですけど。
中実は中まで焼きが入らないので、ぬめぇ〜とした特性。中空は薄い表皮だけですから焼きが均質に入りカチッとした特性になるそうです。重量と特性を考えると中空が良いんだけど、高いのよね・・・。
取り付け
リアは車両の後ろに潜り込んで取り付け可能です。手が入ります(凶悪シャコタン車両除く)(^
^)。
フロントはアンダカバーを外す必要がありますし、スタビを抜く時に地面との距離が必要になるので、リフトアップしないとダメです。
リア、フロント共にスタビとアームのリンク部分、スタビのブッシュ部分を外します。リアはそのまま外れますが、フロントはそこから知恵の輪で抜き取って下さい。抜けないように思えますが抜けます(^
^; (mhoohm ← こいつでも抜けた)。
スタビが太くなった分だけ口径の大きなブッシュが専用部品であります・・・が、そのまま純正使いました。で・・・とっても大変(泣)。数mmの差異くらい大丈夫だろうと思ったら、なかなかこれが〜。スタビの動きも規制しちゃうので、ちゃんと専用品買いましょう。
左:リア 右:フロント (緑色のがMAZDASPEEDのスタビです)
走ると?
このスタビを装着した時の足の仕様は、
BS GRID2
純正ビルシュタインダンパ(走行30,000kmくらい)
純正ハードサスキットのバネ(通称赤バネ)
です。
この足で初期応答時にグラッと来るようなロール感が出てました。舵を与えてからちょと遅れてロールが出る感じでちょと嫌。で、交換後はかなり安心できるロールになりました。ロールスピードが遅く、けっこう粘ってくれる感じ。
スタビライザを太くすると、基本的にはバネやダンパを硬くしたのと同じ効果です。
フロントを太くするとロールしずらくなる=ロールが収まるのが早い=左右への切り返し等でレスポンスがアップする・・・んだけど、ロールしずらい分だけアンダの傾向にもなります。
左右を繋いでロールを規制しちゃうわけですから、コーナリング中や片輪だけギャップに落ちた時の接地性も下がります。
リアも同じで、太くするとロール規制されるので、フロントへの追随性が増します=オーバー特性になる&ピーキーな特性になります。
で、細くすると、フロントはオーバー傾向へ、リアは安定性が増してマイルドになります。
フロントもリアも細くするとロールが収まるまでの時間は長くなるんで、左右への切り返し等でレスポンスは落ちちゃいますけどね。
前だけ太くして後は細くするとか・・・好みで考えてね。太ければいいってもんではないので注意。
ただ、ジムカーナみたいな旋回性能が重要な場合は、どうしても太くする傾向になっちゃいます。純正スタビに比べると今回のMAZDASPEEDのスタビの場合、左右の切り返しが続くスラロームでは明らかに楽になりました。純正だと姿勢を作らなくてもノーズは入り易いんですが、例えば右に旋回した後左へ切り込もうとすると、ロールが戻ってくるまで一呼吸分だけ待ってやらないといけない感じでした。
ほんの数ミリの差なんだけど、けっこう体感できますよ。
中実と中空の効きの差について
機械設計が専門の方からメールで教えて頂きました。ThankS!(^-^)/
円形断面棒の、ねじりモーメントに対するねじれ角度は直径の4乗に反比例します。レバー部分もたわむと考えられますが、そのたわみも直径の4乗に反比例します。(片持ち梁と考えられる)
なので、スタビを、、、
F:径19→径22
R:径12→径14
に変更した場合、他の条件(レバー比、形状など)が同一であったとして、計算上はそれぞれ約1.8分の1のねじれ角度になります。
言い方を変えれば、スタビの効きが 1.8倍になるということですね。(意外と大きな数字ですよね。)ちなみに計算式で書くと、、、
中実の場合
θ=32T/πD^4G (D^4 は Dの4乗 と読んでください)θ:単位長さあたりの ねじれ角
T:ねじりモーメント
π:円周率
D:棒の直径
G:せん断弾性係数(材質によって固有の値)ついでに中空の場合は、、、
θ=32T/π(D^4-d^4)Gd:棒の内径(穴径)
となります。
この式から分かるように外径が同じであれば、中空のほうがねじれ角は大きくなります。(スタビの効きが弱い)
スタビの効きが強いか弱いかというのと、効きの特性が”カチッ”か”ヌメェ〜”というのとは別の意味なのかも知れませんね。
蛇足ながら、一般に”中空軸のほうが強い”と言われるのは”同じ質量の場合(当然、外径は大きくなる)”で、”同じ外径の場合”は中実のほうが強くなります。
ちなみに、焼入れ性に関しては、20mm径程度までならば一般的な炭素鋼でも中まで焼きは入ります。(合金鋼ならもっと太くても大丈夫です。→つーか、その為の合金鋼)
ちなみにちなみに、バネ鋼の場合で上記公式中の”G”の値は焼入れしたものとしていないもので 4%も違いません。。。(引張り強さや弾性限界は焼入れの有無で大きく変わりますが)
同じ”強さ”のスタビであれば、中空(外径は大きい)のほうが中実よりもカチッとした特性になる、っていうのは理屈に合っていると思いますが焼入れ性とは別の要因だと私は考えます。どういう要因か・・・は、長くなるので(←もうすでに充分に長いですが)自粛いたします。(^_^;)
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機械要素の観点から見ると上記のような感じでたぶん合ってると思いますが、所詮は机上のリクツなので、色々な要素が絡み合っているクルマの場合に関して言えば実際に乗ってみて感じたことのほうが正解かも知れませんです。
にしても、アフターマーケットのスプリングはバネ定数を明示してるのに、スタビに関しては径寸法ぐらいしか表示してないのはなぜだろう???。
○○kgf/degとかで表示できそうなもんだけど。。。
NA6CEとNA8Cのスタビは互換性があるか?
MAZDASPEEDのスタビはNA6CE用でリアだけNA8Cにも使えるとなっています。フロントはなぜだめなのか?CORN'Sさんの掲示板でこの話題について話したCROSSさんから、掲示板に書き込みを頂きました。ThankS!(^-^)
NAのフロントスタビ 投稿者:CROSS 投稿日: 2004年7月22日(木)01時06分41秒
mhoohmjw@芦屋さん、こんばんわ。
以前CORN'S掲示板の「MSのスタビライザー」でお世話になったCROSSです。
「NA6用のMSフロントスタビはNA8に取付けできないって本当?」っていう話題です。覚えていますか?
その後を報告します。オークションでNA6用のMSフロントスタビを購入し、実際に取付けてみました。
結果、やはり付きません。
NAの場合レバー比が同じだと思っていましたが、実際にはNA6の方が約20mm短くスタビリンクがとどきませんでした。NA8はmhoohmjw@芦屋さんのおっしゃるとおりエンジンのクランクプーリが出っ張っている為、スタビの固定位置が若干前方へ移動したもようです。そのためレバー長さが約20mm伸びたようです。
そこで次式のTをRWに置き換えて計算するとθ=32T/πD^4G → θ=32RW/πD^4G
T(トルク) = R(レバー長さ) × W(荷重)NA6のφ19からNA8はφ20と太くなり、強化された様に思えますが、NA8はレバー長さが伸びたので、計算結果はNA6もNA8もほぼ同じ数値になります。
だいたい同じ強さってことですね!あくまで計算上ですが...。話が長くなりましたが、これが私の見解です。ご参考にして下さい。
28July'04,28Jan'02,14Jan'02