Sスペシャルは、 ダンパが専用チューニングのビルシュタイン製となった、走り系のモデルです。
SパッケージやVスペシャル、ベース車との差異は、
・専用設計のビルシュタイン製ダンパ
・リアスプリング
・リアバンプラバー
・タイロッドエンド
となります。
Sスペシャルのバンプラバーはリアだけ専用品で標準のラバーよりバンプストッパ部分が長くなっています(フロントはノーマルと同一品)。
長いために、すぐボトムしてバンプラバーに当たるのが、Sスペシャル独特の乗り心地の悪さの一因ではないかとも言われていますが、まぁ関係ないでしょね。あのゴツゴツした乗り心地はダンパの設定だろうと思っています。Sスペ用のビルシュタインは、縮み側はノーマルのダンパとほとんど差異はありませんが、伸び側が倍ほどの減衰力になっています。
まりなちゃんの赤いくつでは、中古で買ったSスペシャルのビルシュタインに付いてきたSスペシャル用バンプラバーは使用せず、ノーマルのバンプラバーにしました。
減衰力(kgf)
|
FRONT |
REAR |
||
伸び |
縮み |
伸び |
縮み |
|
NA6CE(1.6後期型) | 110 |
48 |
90 |
36 |
NA6CE(1.6Sspecial) | 270 |
38 |
218 |
35 |
ジムカーナ用のダンパには、Sスペと同じく伸び側が硬いものが多いそうです。伸び側が硬いと、コーナリング中に内側の足がスポッとは伸びません。通常はコーナリングのGで外側の足が縮んで、内側の足が伸びるんでロールする訳ですが、Sスペのように内側が伸びずらいと、ロールが抑制され沈み込むような姿勢になります。
ジムカーナではこれにプラスして、コースの縁石に乗っても跳ねないってのもあるようです。
バネはフロントは標準の物と全く同一です。リアは少々硬く、以下のような差異があります。
線径 |
コイル中心径 |
自由長 |
有効巻数 |
バネ定数 |
|
NA6CE(NORMAL-AT) | 10.2 |
93.2 |
347.5 |
7.96 |
1.68 |
NA6CE(NORMAL-MT) | 10.1 |
93.1 |
339.5 |
7.68 |
1.68 |
NA6CE(Sspecial) | 10.1 |
93.1 |
318.2 |
6.72 |
1.92 |
これから見ると、バネの差異ってほとんど無いようなもんですね。
で、上記ダンパの場合コーナリングにおいてはジムカーナ用ダンパと同じく安定したロールが得られるんですが、伸びだけ硬いということは連続したうねりやギャップを通過すると、ダンパは縮みやすく伸びずらいので、どんどん縮んできて最後に長めのバンプラバーにドン!とボトムするのではないか(?)と予想しています。
右の画像は、左側がSスペシャルのリア・スプリング、右側がAT車のリア・スプリングです。資料的には約3cmの差があります。でも、ATとMTのちょっとした用途と機関の差異でさえ足をチューニングしてくるメーカのテスト部隊ってすごいかも。ホイホイと適当に組み合わせて足交換してるのって、どうなんだろうかと思っちゃいますね。
おまけの話(^^)
純正バネの見分け方
純正バネには1cmくらいの丸いペイントで印が付いています。この色で何のバネか見分けられます。
FRONT
REAR
MT
AT
MT
AT
NA6CE
赤
白
青
橙
NA8C
白 注1
青
黄
緑
Sspecial
(NA6CE、NA8C共通)Sspecialのフロントは該当車両のMTと同じ
AT車設定無し
クリーム
AT車設定無し
注1: NA6CE(AT)のバネと同一品
羅針盤MLで、くわはらさんに教えて貰いました。
MAZDASPEEDのアイバッハのバネの取りつけ説明には、「長いバンプバラーが付いている場合は、短いものにせよ」との注意があるそうです。
ただ、これは元々ストロークの少ないロードスターのリアに3cmは落ちるバネを組む訳ですから当然の処置かもしれません。
Sスペシャルで車高の落ちるバネを組む方はついでにバンプラバーを換えましょうね。1個¥1,750.-で安いですし。
ただ、ラバーだけ換えても短いバネに純正長のダンパの組み合わせはボトムするまでギリギリのストロークしか残りません。
部品番号 |
|
---|---|
ノーマルのバンプラバー(前後共、共通) | NA01-28-111 |
Sspecialのバンプラバー(後のみ、前はノーマルと同一品) | N021-34-111 |
写真は左がSスペシャル用、右のダンパに組まれているのがノーマルです。
バンプラバーはダンパのダストブーツ(ダンパのシャフトにゴミが付くのを防ぎます。蛇腹になっている部分)と一体になっています。
右のノーマルは経年変化でダストブーツが千切れてます(^-^;)。
バンプラバー部分は蛇腹の上のコマみたいな形の部分と、その上のアッパーに隠れた部分になります。
実測ではSスペシャル用の物はバンプラバー部分が約7mm長くなっています。
マツダも理由なく 長くするはずはないですよねぇ。
某メーカの開発の方からは、長くすることによって早めにダンパに当て、潰れ易くしたバンプラバーで減衰させているのではないか? ノーマルだと突然当たって唐突な挙動を示はずであるとのアドバイスを頂きました。
でも、バンプラバーはドライバで突っつくくらいではSスペシャル用とノーマルの差異を感じることは出来ませんでした。
いったいなぜ長いんでしょう? 未だに謎です。 それだけ、メーカは細かいチューニングをしてるってことですけども。
16Jun'03,03Mar,'02,08Sep'99,11Aug'99,24July'99